イベントルポ「第2回オンライン証言会-16歳の三宅さんと出会う」part2

2020.06.05

5月30日に開催した第2回オンライン証言会ルポの続編です。今回は、30分以上に渡って行われた、学生たちと三宅さんの質疑応答の様子をまとめました。時間いっぱいにさまざまな場所から、さまざまな世代の学生たちと交流ができ、三宅さんも喜んでいました。当日は音声のトラブルなどでうまく聞こえない方もいらしたので、ぜひこちらを読んでいただけたらと思います!

Q:三宅さんにとって平和とはなんですか?(高校1年生)

個人で言えば、お互いに仲良くすることです。それが国同士になる。今、コロナの問題でお互いに協力しなきゃいけないのに、お互いに非難しあっていますよね。それが続くと武力になり、戦争になります。

Q:高校生などの若い人へむけてメッセージはありますか?(高校3年生)

75年前に広島でこんなことがあったのは事実です。今もなお、たくさんの核兵器は存在しています。もし間違って核戦争でも起きたら、テロの手に渡ったら、もう広島どころの話ではなく、人類の破滅です。つまり、これからの問題なんです。そういった目で75年前の話を聞いてほしいです。昔話を聞いているんじゃなくてね。

Q:世界各国で証言をする中で、心に残った、聞いてくれた人の反応はありますか?(大学4年生)

若い人と話すときによく聞かれるのが、「アメリカをどう思っていますか?」ということ。わたしは「そりゃそのときには憎かったよ」と答えます。しかし、アメリカを憎んだり、悪口を言っているだけじゃ、この問題は解決しないんです。やっぱり、協力していかなきゃいけないこともあります。原爆を落としたのは当時のアメリカ政府のほんの一握りの人です。大部分のアメリカの人たちは知りませんでした。だから戦後まもなく、いろいろな援助を教会を通じてしてくれました。原爆乙女の治療をしたり、経済援助をしてくれたり。だから「アメリカ」と一言でくくれないんです。

Q:スライドで使用していた絵は三宅さんが描いたものですか?

基町高校の子どもたちが被爆者の話を聞いて描いたものです。これを証言活動に使っていいと言われているので、僕の体験と似た絵を使わせてもらっています。

Q:海外の方へ証言活動をしているときに工夫していることはありますか?(大学2年生)

例えば、ヨーロッパやアメリカの方に話をするときはストレートに原爆の話をします。ですが、アジアの方に証言をするときは、いきなりの原爆の話をしません。日本は当時、アジア人たちにひどいことを行いました。なので、日本の加害のことを一番初めに伝えます。日本は加害と被害の両方の面がありますが、それを相殺してはいけないんです。日本はこんなにひどいことをしたから、原爆を落とされて当然だという風になってはいけません。どちらも悪いんだという認識を持つことが大切です。日本がやったことも、原爆を落としたことも両方悪いんです。

Q:コロナウイルスが落ちついたら、またピースボートに乗りたいですか?(高校1年生)

今後どうなるかは分かりませんが、もし落ちついて、自分が健康だったら、ぜひ乗りたいです。

Q:三宅さんが読んでほしいと思う書籍はありますか?(高校1年生)

現状の核兵器のことを知ってほしいので、川崎哲さんが書いた「核兵器を禁止する」という本が読みやすいんじゃないかなあと思います。

Q:核兵器が平和利用されていることもありますが、今後、核はどうあるべきだと思いますか?(中学3年)

原発に核は使われていますね。原発も原爆もどちらもウランの核分裂を利用しています。目的は異なっているけれど、どちらもものすごいエネルギーを使うんです。だからこれを利用しようと誰しも考えてしまいます。しかし、スリーマイル島、チェルノブイリ、2011年の福島など、原発事故のあとの被害は甚大でした。つまり、物事に絶対はないということです。核というものを人間が100%制御することはできないと感じています。これを制御できると考えるのは人間のおごりでしかありません。

Q:広島や長崎と物理的に距離が離れている東京で、原爆のことを自分事として考えてもらうためには、どうしたらいいと思いますか?(大学1年生)

友達同士でこういう話をするのは、しにくいですよね。時代の違う僕が答えても仕方ないかもしれないけれど、やはり現場を見るということは大切だと思います。資料館に訪れてもらうとかね。また、小さい時から戦争の勉強をする習慣も大切ですよね。将来、お子さんを持つことがあれば、小さいときから伝えていただきたいですね。なかなか大学生にいきなり話をしても伝わらないことも多いです。ですが、今後はオンラインのイベントが流行るでしょうから、こういったイベントを紹介してみるとか、きっかけを与えることは重要だと思います。

Q:ピースボートの乗船する前とした後で、どんな心境の変化がありましたか?(大学2年生)

飛行機で行く海外旅行もたくさん行きましたが、そういう旅行は観光地などいい場所にしか連れていってくれません。ピースボートは必ずしもそうではなく、普段会えない様々な立場の方とお会いし、交流ができます。普通の観光旅行ではない出会いがあるのです。船の中では、本当にいろんな人と交流ができます。それがやみつきになった理由です。

Q:三宅さんが若者に証言をするときに気を付けていることは?(大学2年生)

75年前の昔話として聞いてもらうんじゃなくて、今の問題、未来の問題、そして自分の問題だと思ってもらいたいと思っています。単なる昔話なら、話す気にもならないし、聞く気にもならないでしょう。

短い時間でしたが、さまざまな質問が飛び交いました。今回は三宅さんとの交流を学生に限定したので、いつも以上にさまざまなことが聞けたのではないかと思います。今後もオンラインで証言活動を続けていきますので、ぜひご参加ください。

NEWS

私も署名しました

四角大輔

作家、プロデューサー、冒険家

デニ・ムクウェゲ

婦人科医、人権活動家。2018年ノーベル平和賞受賞者

エラ・ガンディ

マハトマ・ガンディの孫
平和活動家

ヤン・キッカート

オーストリア国連大使

安田菜津紀

フォトジャーナリスト

イメージなし

瀬戸内寂聴

作家、僧侶

いとうせいこう

クリエイター